1. in vitroにおいてカルシニューリン活性に影響を与えるレアメタル、微量元素のスクリーニング (1) カルシニューリン(CN)は、T細胞においてインターロイキン-2 (IL-2)産生を制御し、細胞性免疫に関与する酵素として知られている。CNはin vitroでは、ニッケル(Ni^<2+>)やマンガン(Mn^<2+>)で活性化することが示されているが、本研究では、Ni^<2+>刺激したCN活性に対するMn^<2+>の相乗効果について検討した。その結果、予想に反してMn^<2+>がこの活性を阻害することを見出した。また、この阻害様式を検討したところ、Mn^2は、Ni^<2+>刺激したCN活性を不競合的に阻害することを明らかとした。 (2) 希土類の一つであるランタン(La^<3+>)のCN活性に対する影響を検討したところ、La^<3+>はCN活性を上昇させることを見出した。今後は、他の希土類に対するCN活性の影響について検討を行う予定である。 2. バナジウムのヒトT細胞様株Jurkat細胞に対するIL-2産生の影響 先行研究において3種類のバナジウムイオン(VO_4^<3->、VO_3^-、VO^<2+>)がJurkat細胞のIL-2産生を上昇させることを明らかとしたが、NADPHがこの活性を更に上昇させることを見出した。また、NADPHオキシダーゼの阻害剤であるジフェニレンヨードニウムクロリドがこのIL-2産生を抑制させることを見出した。 3. Mn^<2+>胞性免疫に対する影響の分子栄養学的研究 先行研究において、ホルボールエステル存在下、Mn^<2+>は、転写調節因子AP-1を上昇させることによりJurkat細胞のIL-2産生を相乗的に上昇させることを示したが、NF-κBについて同様の検討を行ったところ、NF-κBの変化は観察されなかった。
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