研究課題
本研究の最終的な目的はメタボリックシンドローム(Met. S)に関連する遺伝子多型を利用したデイラーメイドの食事療法を開発することであるが、平成21年度は、体脂肪燃焼に関係するアドレナリンβ3受容体(Adβ3R)と脱共役たんぱく質(UCP)1遺伝子多型および血圧上昇に関係するアンギオテンシノーゲン(AGT)遺伝子多型の食事・運動療法(6ヶ月間)による体重、肥満度(BMI)、体脂肪率(DEXA法)、腹囲、血圧改善効果に及ぼす影響を検討した。Adβ3R遺伝子多型の野生型WW群(42例)および変異型WR+RR群(28例)における食事・運動療法介入効果の比較では、6ヶ月間の体重、BMI、体脂肪率、腹囲の減少は、いずれも野生群(WW群)よりも変異群(WR+RR群)の方が小さかったが、有意差を認めなかった。UCP-1遺伝子の野生型AA群(21例)および変異型AG+GG(49例)における食事・運動療法介入効果の比較では、6ヶ月間の体重、BMI、体脂肪率、腹囲の減少は、いずれも野生群(WW群)よりも変異群(WR+RR群)の方が小さかったが、有意差を認めなかった。しかし、3ヶ月間の腹囲変化は、それぞれ-4.1±3.8および-2.2±2.7cmと有意に野生群より変異群で少なかった。AGT遺伝子多型の野生型TM+MM群(16例)および変異型TT群(23例)における食事.運動療法介入効果の比較では、6ヶ月間の収縮期および拡張期血圧変化は野生型の低下よりも変異型の低下の方が少なく、特に拡張期血圧については有意であった。今回の検討から、Met. Sに関連する遺伝子多型の変異型は食事・運動療法による減量効果が出にくいことが示された。しかし、遺伝子多型以外の要因の影響が大きく、遺伝子多型と減量効果の関係は減弱化されることが推定された。
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