昨年度までは、マウスに卵白アルブミン(OVA)と共に硫酸アルミニウムカリウム(みょうばん)を経口投与した場合、OVAに対する抗体産生とT細胞増殖反応が誘導されることを明らかにした。これらの免疫反応が起こる原因として、樹状細胞(DC)のような抗原提示細胞が活性化している可能性が考えられる。そこで今年度は、みょうばんを経口投与した場合の、DCの変化について解析した。マウスの腸間膜リンパ節(MLN)においては、CD11c陽性のDCが存在する。マウスにOVAのみを経口投与してもMLNのCD11c^+DCの割合に変化はないが、みょうばん10mgを経口投与した場合、MLNにおけるCD11c^+DCの割合は明らかに増加した。これらCD11c^+DCにおける、CD80・CD86といった共刺激分子やMHCクラスII分子のような、T細胞を活性化する分子の発現を観察したところ、みょうばんを経口投与したマウスのCD11c^+DCにおける、CD80・CD86・MHCクラスII分子の発現は著しく増加していた。このことより、みょうばんをマウスに経口投与した場合、消化管付属リンパ節におけるDCが著しく活性化することが示された。これらのDCの活性化により、MLNや全身のT細胞が活性化され、食物抗原特異的な過剰な免疫反応が誘導される可能性が示唆された。 一方、20代女性を対象にアンケート調査を行い、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を有する女性と、アレルギーがない女性における食生活を調べた。そうしたところ、パンやラーメンといった、みょうばんを食品添加物として含むことが多い食品の摂取頻度は、アレルギー疾患を有する女性において明らかに高いものであった。 以上、動物実験と調査研究により、みょうばんの過度の摂取は、アレルギー反応を誘導・促進する可能性があることが示された。
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