研究課題
インスリン応答性ラット肝癌細胞株であるH4IIE細胞を、生体内で血糖降下作用が報告されている緑茶カテキンの一種、EGCGで様々な濃度・時間で処理した。これらの処理を行った細胞からtotal RNAを調製し、リアルタイムPCR法を用いてインスリン誘導性転写因子であるSHARP-1mRNAの発現量を測定した。その結果、SHARP-1遺伝子の発現は、インスリンと同様2時間と非常に早期に誘導された。次に、EGCGによるSHARP-1遺伝子発現の誘導は、phosphoinositide 3-kinase(PI3-K)経路の阻害剤であるLY294002、protein knaseC(PKC)の阻害剤であるsturosporine、AMP-activated protein kinase(AMPK)の阻害剤であるCompound-C、NF-kBの阻害剤であるBAY11-7082、ならびにDNA依存性RNAポリメラーゼの阻害剤であるactinomycinDで阻害された。また、EGCGによるSHARP-1mRNAの誘導は、ドミナントネガティブ型atypical PKC(aPKC)lambdaを発現するアデノウイルスの感染により低下すること、SHARP-l mRNAの発現は、AMPKの活性化剤であるAICAR処理により誘導されることを明らかにした。加えて、EGCG処理後5分と非常に早期に、aPKC lambdaがリン酸化され活性化されていることも示した。以上の結果から、EGCGは、PI3-K/aPKC lambda,AMPK,およびNF-kBという3つのシグナル伝達経路を介して転写レベルでSHARP-1遺伝子の発現を誘導すると結論した。以上の結果をもとに、2報の英論文がアクセプトされた。また、昨年度の成果をまとめて和文総説を刊行した。
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