研究課題/領域番号 |
21500806
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研究機関 | 園田学園女子大学 |
研究代表者 |
尾関 百合子 園田学園女子大学, 健康科学部, 教授 (00169301)
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研究分担者 |
吉村 満美子 大阪市立大学, 医学研究科, 助教 (20438229)
田丸 亜貴 大阪府立公衆衛生研究所, 感染症部, 研究員 (70270767)
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キーワード | 細菌 / 食品 / 微生物 / 抗生物質 / 生理活性 |
研究概要 |
結核(症)は年間200万人の死を招く最大級の細菌感染症である。結核の多くは世界人口の1/3に潜伏感染している結核菌の再増殖(内因性再燃)により発症する。結核発病者には複数の結核薬が6-9ヶ月に渡って投与される。このように結核治療は感染症としては異例の6ヶ月以上の長期間を要するため、結核薬は副作用の低いものでなければならない。この治療薬の候補として食品機能性成分があげられる。 今回はヒアルロン酸分解酵素阻害作用を持つことが報告されているフラボノイドおよびアスコルビン酸パルミテート(Vcpal)について結核菌およびBCG増殖抑制作用について検討した。われわれは結核菌が肺胞上皮細胞に侵入する際に細胞外マトリックスのひとつであるヒアルロン酸を介することを見出していた。今回、BCGおよび結核菌がヒアルロン酸分解酵素を産生し、それにより分解したヒアルロン酸をエネルギー源として増殖することを明らかにした。ヒアルロン酸を加えた7H9培地で結核菌あるいはBCGを培養するとヒアルロン酸の濃度依存的に増殖した。この培養系にVcpal、アピゲニン、ケルセチンを加えるとVcpalは25μM以上の濃度でアピゲニンとケルセチンは100μM以上の濃度で菌の増殖を有意に抑制した。このことより、これらの物質がヒアルロン酸分解酵素阻害作用を介して菌の増殖を抑制していることが明らかとなった。また、ヒアルロン酸を含まない通常の培地(7H9+ADC)でもこれらの物質はBCGおよび結核菌の増殖を濃度依存的に抑制することがわかり、ヒアルロン酸分解酵素阻害とは異なる作用機作があることが示唆された。 BCGを肺内に感染させたBALB/cマウスにVcpalを2週間投与することにより、肺内の菌数が有意に抑制された。これはVpalが感染後でも有効であることを意味する。今回の動物実験で栄養素の誘導体が治療薬として有効であることが示された。
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