研究課題
平成22年度は、中央北海道石狩湾沿岸の3地点を定点として、毎月1回海岸漂着物の調査や採集を行った。継続的な調査研究の結果、トリガイ、サクラガイ、レイシガイなどの暖流系貝類の打ち上げを記録した。また、北海道の日本海側では5年ぶりにアオイガイの大量漂着の状況を確認した。これらの暖流系生物の顕著な出現は、海面水温の上昇と相関していた。一方、日本海沿岸の対馬暖流域における野外調査では、北海道利尻島、礼文島及び長崎県対馬の海岸で、貝類を中心とする漂着物の調査や採集を試みた。これらの離島での調査は対馬暖流域での貝類の漂着物多様性を見積もるための貴重なデータと考えられる。一連の研究成果は学会で公表し、順次学会誌に公表した。特に北海道沿岸におけるタカラガイの漂着は、海水温上昇を示唆する地球温暖化の一例としても注目された。昨年度、石狩湾沿岸の漂着物から代表的なものを選択し、簡潔な解説をつけて、カラー印刷による6頁立てリーフレット(石狩のビーチコーミング)を500部作成した。今年度は、このリーフレットを漂着物教材の実践例として、学生の野外調査指導や教員の10年研修の資料として活用した。その際リーフレットの内容に関するアンケートを実施し、改訂版作成時の参考資料とする。
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漂着物学会誌
巻: 第8巻 ページ: 17-21
Venus, Journal of the Malacological Society of Japan
巻: 68 ページ: 165-171
巻: 8 ページ: 25-26