研究分担者 |
中野 博之 弘前大学, 教育学部, 教授 (30400120)
西澤 道知 弘前大学, 教育学部, 准教授 (20318801)
昆 正博 弘前大学, 教育学部, 教授 (70103017)
山形 昌弘 弘前大学, 教育学部, 准教授 (10003675)
伊藤 成治 弘前大学, 教育学部, 教授 (40193487)
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研究概要 |
数学的に考える過程に焦点をあてた教員養成及び現職教員研修プログラム開発に向けて,次の(1)~(3)に取り組んだ。 (1)教科教育教員と教科専門教員の協同によって取り組んできた小学校数学専門科目の効果と課題を把握し,算数専門科目の教材とその扱いのあり方について検討した。数学教育分野の立場から九九表と平面図形の敷き詰め,代数分野から整数の性質と数列,幾何分野から合同変換を扱った授業について,数表の性質と平面図形の敷き詰めを課題とする学生のレポートを数学的な内容の質に着目して考察した。九九表の扱いについては,考えの多様性等の価値に加え,「公差が1の自然数の列」「乗法表」という条件を浮き彫りにすることにより,規則性の何がどの条件に依存するかを再検討し性質を拡張する見方を経験することの重要性が示された。また,敷き詰めに関しては平面図形の移動を決定する条件を意識化することの重要性が示された。 (2)授業記録に基づく協議の質を高めるための方法についての検討。 教育実習を経験した学生にとっても,授業における子どもの活動を記録することと,子どもの活動を解釈し数学教育的に価値付けることは必ずしも一致しないことが明らかになった。たとえば,問題解決において結論に辿り着かなかった場合や扱っている数学の内容が見えにくい場合について,子どもの活動の事実を記録していても価値のないものとしてグループ協議に取り上げない等の例があった。捉えた事実を共有しその意味や数学教育的価値を考える場をつくることによって,子どもの活動の意味を理解し,自分とは異なる解釈に気付くことで教材の見方が深まるという事例も示された。 (3)研究の最終年度として,「数学的に考える過程に焦点をあてた教員養成及び現職教員研修プログラムのための教材と実践事例」を整理し冊子にまとめた。
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