研究概要 |
1.中学校理科の放射線教育に利用できる実験用教材の開発(安全で取り扱いが容易な放射線源と霧箱の開発) ・放射線源については、秋田県玉川温泉の湯の華を用いて次の3種類を試作し検討した。 i 活性炭を用いて気相中に放出された220Rnを集め、その崩壊でできた娘核種(212Pb,212Poなど)を活性炭上に固定したもの ii 湯の華から228Ra,224Raなどの核種を水相に移し、これらを硫酸バリウムなどを用いた共沈法で集めたもの iii 湯の華をそのまま樹脂などで固めたもの その結果、iについては十分な量の220Rnを集めることができず、むしろ、湯の華の代わりに人形峠の土や過リン酸石灰を使うことのほうが良好な結果が得られることが分かった。 ii、iiiについては、霧箱で飛跡を観察できる程度の線源ができることがわかったが、授業などで利用することを考えると、もう少し強い線源が望まれる。 ・霧箱については、プラスチック製の培養フラスコを利用することで、製作が容易で、気密性の高いものを作製することができた。222Rnを吸着させた活性炭を線源に用いたところ、222Rnがその半減期3.8日で減衰する様子を確認することができた。 2.教員を対象とした研修プログラムの作成とその試行 本学ASCeST(理科教員高度支援センター)にて平成22年11月18日(木)13:30~17:00に中学校教員ら12名を対象に「身の回りの放射線を調べてみよう」をテーマとした研修を行った。研修の中では、開発した霧箱も紹介し、参加教員からの反応は肯定的であった。 3.航空機と霧箱を用いた映像教材の開発 ペルチエ霧箱を航空機内に固定し、飛行中に観察される宇宙線(ミューオン)の飛跡の映像を撮影した。当初の予想ほどは、地上と上空の差は視覚的に顕著ではなかったが、計数することで一定の差が見られた。
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