研究概要 |
本研究は実験に基づいた物理教育方法を開発することが目的である。本研究グループは大学での物理教育を担当しており、実習はもとより講義での実験を重視している。自然科学の学習を机上で終始すると、多くの学生は「現実」と遊離した「勉強」をする。学習の各過程で「現実」の現象を、実験を通して「見る」ことは、自然科学の本来の姿であると考える。 本研究グループは主要テーマ「力と運動」「エネルギー」「波動」「電気と磁気」「原子と物質」ごとに、基本法則とその応用例を示す実験プログラムおよび装置を開発してきている。実験を体系化し、首尾一貫した実験に根ざした物理教育を目指している。 平成22年度は,「エネルギー」をテーマとする実験として大型凹面鏡を作成した。また、「光」の性質を利用したホログラムを作るための方法を確立した。さらに、二酸化炭素をテーマとする実験群の開発を開始した。 開発した実験は大学での物理教育のみならず周辺地域を対象とした公開講座にも供している。平成23年度は、10回の公開講座を実施し308名程度の参加者を得た。参加者には小学生から高校生、保護者および教育関係者が含まれている。このような活動は、ひとつ地域への貢献に閉じず、本研究の成果を広い年齢層を対象に試すための機会である。子供の感想、成人からの指摘、得難いアイデアを収得することができる。さらに、このような活動を通して形成される人間関係は本研究グループを新しい段階へと導いてくれるものである。 福島原子力発電所の事故および放射性物質による汚染について情報収集・分析をおこなうとともに,「放射線」に関する実験を整備し,講義や公開講座に適用した。
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