研究概要 |
本研究の目的は,オープンウエアを用いた工学教育開発の一環として,学習効果を増強し検証するための学生実験の開発である。オープンウエアとは,ソフトウエア開発におけるオープンソースソフトウエアや,ハードウエア開発におけるオープンIPを含む概念として本提案で用いている. 本年度に実施予定であったのは,前年度までに実現した 1.FPGAボードを用いた論理回路設計やアセンブリプログラミングを行う学生実験の実現 2.学部2年生の被験者を用いて実施したオープンソース活用の予備実験 3.FPGAボードへの計算機システム構築実験 4.学部学生にオープンソース資源を用いて言語処理系を構築させる実験 の結果に立脚して,最終段階の3名×5チーム程度の規模で実施する,計算機システム統合実験を実現させることであった.そのために「論理回路とCAD」の授業枠を利用する計画であった. しかしながら,履修制限をかけることが許されなかったので57名の履修者を抱えてしまい,試験等で履修者を選別することも許されなかったので,予定を変更して講義形式の授業にせざるを得なかった.また当初の目標の学生実験を完遂するには,学生に対応するハードウエアの知識や実践力が必要であるが,ほぼ全員が身についていなかった.そこで,講義でオープンウエア活用の具体的な技法を教え,宿題でそれを駆使して解決する問題を課すという形式のものとし,履修人数の制約となるFPGAボード等のハードウエアを使わないで実施できるように工夫した.この授業は後学期に実施されたが,その結果については教育系の研究会等で公表する予定である.また,ハードウエアの実践力を確実にするために,上記1の充実にさらに注力した. また,21年度と22年度の成果をまとめたものを,ICISA2011,および,電子情報通信学会の人工知能と知識処理研究会にて、23年度の成果の一部を情報処理学会の教育とコンピュータ研究会にて発表した.
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