物理において実験の実施は無くてはならないものである。にもかかわらず大学迄の学校教育において十分な実験が行なわれていないのが現状である。このため、最も基礎的な力学の学習においても、多くの学習者が力等の十分な理解を得ていない。あるいは正しい運動の知識を獲得しても、その知識(科学知)が時間とともに経験に基づく知識(経験知)に取って代わられていることが研究から示されている。この教育システムではぐ実験を行なえる手軽なシステムを構築すること、そのシステムを用いた学習方法を呈示することが目的である。このために、実験装置による力学実験を市販ソフトウェアVideoPointにより解析する手順を説明する映像教材を作成した。これは高等学校等の学校教育での利用を想定し、教員による実験教授のために利用するものである。また、コンピュータビジョンライブラリOpenCVを用いて、ウェッブカメラ内蔵のコンピュータのみで力学実験解析が可能となるソフトウェアの開発も行なった。学習者自らの経験知により科学知獲得が困難となっている現状を解決するために、誰もが手軽に力学実験の解析を行うことが出来る様にした。本ソフトウェアを用いるなら、力学実験を行なった場合に、物体の運動を定量的に解析可能であり、運動物体の加速度等の解析より、定量的な力(ベクトル)をグラフとアニメーションとして可視化した。これにより一旦学校教育で学習した科学知が経験知により取って変わる前に、誰もが自分自身の手による実験から正しい科学知を再度獲得するための手段として活用できることとなり、大学生による試行でも、理解を促していることが分かり本研究の目的を達した。製作物はインターネットを経由して配布することとしている。
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