研究課題
基盤研究(C)
酸素(O2)と二酸化炭素(CO2)に視点を絞った自然探求型の理科教材は、理科教育における「エネルギー」・「粒子」・「生命」・「地球」の科学の基本概念の育成に重要な役割をはたすものと考えている。そこで本研究では、誰でも簡単に操作できる理科教育のためのO2ガスとCO2ガスを計測するシステム教材を開発した。O2ガスは、簡単に作製できる手作りによる隔膜ガルバニ電池式酸素センサを採用した。この酸素センサは、大気中のO2濃度だけでなく、溶液中のO2濃度も計測できるため理科教材として最適なセンサである。CO2ガスは、固体電解質型センサモジュール(FIGARO : CDM4160-HOO)を使用した。このシステムは、O2センサとCO2センサを組み合わせて同時に自動計測できるようになっている。センサはUSBによりPCに接続しデータを取り込み、市販の表計算ソフトにより処理できるように計測ソフトを開発した。さらに盲学校の理科教育にも使えるよう、計測データを読み上げる機能を加え、さらに外国の理科教育でも使用できるように日本語から英語による表示が切替できるようになっている。何よりもこのシステムの重要な利点は、人間には無色透明な酸素と二酸化炭素の気体濃度の変化に対して時間を追って視覚することができることである。探求実験として発表者個人の呼気を例として実験をおこなった。浅く吸い込んだ空気を呼気袋に吹き込んだ場合(浅い呼気)と深く肺まで吸い込んで30秒間息を止めた後の呼気を呼気袋に吹き込んだ場合(深い呼気)の2種類について実験をおこなった。それぞれの実験は、5秒間隔でデータをサンプリングし90秒間計測をおこなった。呼気における酸素と二酸化炭素の経時変化を比較し検討を行った。尚、計測器のキャリブレーションは、大気中の酸素濃度と二酸化炭素濃度と同じに酸素20.9%、二酸化炭素400ppmとして設定した。実験結果、浅い呼気の場合、酸素濃度は20.9%から18.64%と約2.3%減少した。一方、二酸化炭素濃度は、呼気後17828ppm(約1.78%)となり大気中の二酸化炭素濃度の約45倍増加した。深い呼気の場合、酸素濃度は16.81%と約4.1%減少した。一方、二酸化炭素濃度は、呼気後2485ppm(約2.48%)となり大気中の二酸化炭素濃度の約62倍増加した結果を得ることができた。このように浅い呼気や深い呼気でも、呼気袋とO2/CO2計測システムがあれば、誰でも簡単に呼気の実験をすることができる。しかも定量的に精度よい結果を得ることができる。この計測システムは、自然探求型の理科教材として「生命」の基本概念育成にも大いに期待できる。
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