研究概要 |
研究は、我が国の産業界における開発プロセスを適切に教授するエンジニアリングデザイン教科内容を設計し,さらに邦文教科書のないエンジニアリングデザイン教科書およびe-leaning教材を作成することにより,広く大学工学部教育に資することを目的とする。平成22年度までの日本企業におけるデザインプロセス調査を元に、科目内容を検討し,エンジニアリングデザイン教育として教育すべき内容,方法について検討した。その結果、デザイン・プロセスの理解のためには学生自身のものづくり体験が必須であること。しかし、ものづくり体験だけからはデザイン・プロセスを理解することも、開発に活用することもできないこと。ものづくり体験を踏まえてデザインのあり方、技法などを学び、学んだ知識をものづくりに活用することが学生のデザイン能力を高めるために効果的と考えるに至った。 さらに企画立案から設計、製造に至る開発プロセス全体を理解し、優れた設計解(製品)を開発するためには、企業においてデザイン・プロセスが定められ、そのプロセスに沿って開発がずすめられること、およびその理由や方法について学ぶことが必要と考える。以上について1件の論文発表を行った。 松江高専および専攻科では、知識教育に技法演習、ものづくり体験そして創造力を高めるための演習を組み合わせたカリキュラムを実施し、その経験について2件の学会発表を行った。 しかし現在、東北震災に伴う原子力発電所事故によって、技術のあり方に対する見方、考え方を再考しなければならなくなっている。エンジニアは1つの製品の安全性、信頼性だけでなく、広く人々に対して、あるいは社会に対して安全、信頼を考えなければならない。デザインに対する新たな考え方を構築し、教科書及びe-learningとしてまとめることが今後の課題である。
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