本研究課題では、植物成長を撮影した画像・映像の作成と3Dグラフィックソフトウエアで描く「バーチャルフィールド」の開発、およびこれらの教材としての有用性検証を目的としている。3年計画の2年目である本年は、前年に引き続き、以下の研究を行った。 1.植物生長映像として、今年度は特に花芽形成から果実肥大までの過程を撮影し、8~9月の異常高温による困難はあったものの、キュウリ、フウセンカズラなどの特徴ある植物成長の映像を取得した。 2.前年まで取得した小学校教材用映像(種子発芽・屈光性・茎の伸長部位など)と中学校教材用映像(組織培養・わき芽伸長など)を整理してCDに収録し、3回の現職教員研修の際に40校以上の教師に紹介・配布した。また、前年作成したeラーニング教材「種子発芽の条件」について教員・大学生60名以上から意見を聞き、改良を行った。 3.3Dグラフィックソフトウエアで描いたトウモロコシとヒマワリのバーチャルフィールドについて、植物体のみを透明化し影を残すというアイディアを使って、現実の圃場実験では視覚的に確認することができない、"個体間の相互遮蔽"と"地面へのノータッチ光ロス"を直接見ることのできる手法を作成した。 4.取得した連続画像をもとに、画像解析法により植物体部分の面積・位置を算出するプログラムを作成し、培養液の種類による水耕葉菜類の生育差や、水分ストレスの有無によるトマト苗の生育の違いを定量的に評価できるシステムを作成した。また、イネの三次元バーチャルフィールドについて、直達光の受光効率を算出するソフトウエアを改良し、プログラミングの知識のない教員にも使える対話式ソフトウエアを作成した。
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