本研究課題では、植物成長を撮影した画像・映像の作成と3Dグラフィックソフトウエアで描く「バーチャルフィールド」システムの開発、およびこれらの教材としての有用性検証を目的としている。3年計画の最終年にあたる本年度は、以下の研究を行った。 1.植物成長動画については、前年夏の異常高温により撮影できなかったインゲン・オクラ・ピーマンなどの開花期から果実肥大期までの微速度撮影画像を取得した。本研究の成果を教育現場で活用してもらうために、これまでに収集した50以上の植物成長動画をDVDにまとめ(前年度のCD版を拡充)、教員研修会などの際に配布した。また、取得データを用いて栽培学習ゲームも作成している。 2.生徒が仮想空間で作物栽培・実験を体験するバーチャルフィールドについては、前年のヒマワリ・システムをもとにイネ仮想群落(水田)を作成した。また、群落サイズが大きなキュウリについて、画像計測(葉配置座標)・画像解析(葉面積)などを組み合わせた新たな手法を用いて仮想群落を構築した。 3.宮城県内の学校との連携による教材評価・画像取得の計画は東日本大震災により実施できなかったが、取得した画像から植物成長状態を解析するための手法については、「果実形状変化の特徴抽出」や「環境条件や環境ストレスによる植物成長量の変化解析」を実行するソフトウエアを作成・改良した。 4.バーチャルフィールドの新たな試みとして、微速度撮影データから植物成長(分枝や花芽形成)の規則性を見出し、生長過程をアニメーションで描く花卉類の自動成長3DCGモデルを作成した。この動的モデルをAR(拡張現実)と組み合わせることにより、時間軸も考慮にいれた花壇設計を可能とするシステムが構築できた。 5.本研究で得た成果は、平成24年度から実施する基盤研究(C)(No.24501088)でも活用する予定である。
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