昨年度の研究によって明らかになった小学校教員の実際(理科嫌い・理科授業嫌い・自然科学に対する知識や理解の欠如等)に基づきながら、理科授業に携わる小学校教員(含、小学校教員志望学生)の資質向上を図るための再教育プログラムや指導資料等を開発した。具体的には、以下の4点である。 1. 小学校教員が特に不得手としている物理分野の再教育のための資料(『傑作!物理パズル50』講談社ブルーバックス)を刊行した。本指導資料は、物理分野の基本的概念(力概念・光概念・電磁気概念・熱概念・波動概念・原子概念・相対性理論・指数関数的成長等)を取り上げ、また数式を使用しない平易な再教育プログラムとして位置づけることができる。 2. 小学校理科授業の構成を不得手としている教員に向けて、子どものプリコンセプションをより科学的な概念へと変容・再構成させるための学習指導資料を、『毎日小学生新聞』(毎日新聞社刊)に1年間約50回に分けて継続的に提案した。 3. 山梨大学のコアサイエンスティーチャー(CST)養成プログラムの実施責任者として、山梨県教育委員会と協力しながら理科指導に長けた小学校教諭の育成を目指すCST養成プログラム(計7コースからなる養成プログラム)を編成し、その試行を行った結果、一定の教育的効果を得ることができた。 4. 小学校教員志望学生の科学的資質(粒子概念などの物理概念に対する理解)についてさらに詳細に調査・分析を行うとともに、現行の文部科学省検定済各社理科教科書に掲載されている物理分野の内容等についても検討を行った。
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