一昨年度の研究では、小学校教員の実際(理科嫌い・理科授業嫌い・自然科学に対する知識や理解の欠如等)を把握した。また、昨年度の研究では、理科授業に携わる小学校教員(含、小学校教員志望学生)の資質向上を図るための再教育プログラムや指導資料の開発を行った。最終年度(本年度)においては、再教育プログラムや指導資料の更なる活用を図るとともに、その汎用性を高める研究を遂行した。具体的には、以下の4点である。 1.小学校理科授業の構成を不得手としている教員に向けて、子どものプリコンセプションをより科学的な概念へと変容・再構成させるための学習指導資料を、『毎日小学生新聞』(毎日新聞社刊)に1年間約50回に分けて継続的に提案した。 2.上記1における『毎日小学生新聞』に掲載された学習指導資料に対する読者(小学校教員を含む広範な読者層)からの反響や意見を参考にしながら、更なる有用性や教育効果を有する学習指導資料へと再構成した。 3.さらに、上記2において再構成した学習指導資料を、平成20年小学校学習指導要領解説(理科編)に見る理科の内容の学年配分と系統区分(1)エネルギー:エネルギーの見方・エネルギーの変換と保存・エネルギー資源の有効利用、(2)粒子:粒子の存在・粒子の結合・粒子の保存・粒子のもつエネルギー、(3)生命:生物の構造と機能・生物の多様性と共通性・生命の連続性・生物と環境のかかわり、(4)地球:地球の内部・地球の表面・地球の周辺)とを照合しながら構造化を図るとともに、プログラム化する作業を行った。 4.上記3においてプログラム化した学習指導資料は、当該出版社(東洋館出版社)から書籍(仮称『理科授業が苦手な小学校教師のための指導読本』)として刊行され、公表される運びとなった。既に2月中旬に入稿を済ませ、6月刊行予定である。
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