教材用2足歩行ロボット教材を作ることができた。制御基板はPICを用いた回路により16個のサーボモータの制御が可能となった。また、アナログ入力端子も5個備えているため、加速度センサやジャイロセンサを取り付けることが可能となった。加速度センサやジャイロセンサを用いることで、歩行時の傾きの検査が可能となり、人間が持つ三半規管の役割と対比して教えることが可能となる。これにより、人間の歩行動作とロボットの歩行動作の比較において、歩行モーションだけでなくバランス制御のアルゴリズムを考えさせる教材となった。 ロボットのフレームは、パンチングメタルで製作が可能なモデルであるため、中学生にも製作可能である。構造的に負荷が多くかかる足部(人間で言う「太もも」の部位)の補強により、歩行時のねじれも解消できたため、丈夫な構造となった。それにより、ロボットの長時間の片足立ちが可能となり、歩行動作もスムーズに実現できるようになった。 制御プログラムも教育用プログラミング言語「ドリトル」を利用して作ることが可能になった。静岡県内の公立中学校で、ロボットの歩行制御プログラムの作成に関して評価試験を行ったところ、授業を受けたほぼ全員の生徒がサンプルプログラムを基に歩行プログラムを作成することができることがわかった。 さらに、関西医科大学の山田久夫教授のご協力のもと、人間の歩行とバランスを取る生理学的な視点での教育資料が作成可能となった。この資料によりロボットの動作を考える計測・制御の学習から、人間の生理学的な仕組みも考える教材へと発展できる。
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