本研究では、子どもたちが創意工夫し、学びに熱中する教材として、(1)機能性材料を用いた教材(形状記憶合金エンジンカー、人工筋肉ロボット)、(2)2足歩行教材(受動歩行模型、準受動歩行模型、サーボモータを用いた2足歩行ロボット)、(3)機械式振子時計教材(おもり動力、ゼンマイ動力)、(4)楽器教材(オカリナ)の開発を行い、年間計画・授業案の作成とあわせて中学校「技術とものづくり」における創意工夫教材、ロボット教材として提示した。(1)は機能性材料に対する驚きと作動原理の不思議さ、(2)の受動歩行も動力を持たない模型の歩行への驚き、(3)は時を刻む機構の面白さ、(4)は材質などで変わる音色の不思議を備えている。また、(1)のエンジンは出力を高めるための創意工夫、(2)の受動歩行は重心の調節と歩行するための試行錯誤やデザインの創意工夫、サーボモータ駆動の2足歩行ロボットは独自のロボット開発と独自の動作プログラムの作成、(3)は振子の周期の設計や摩擦を減らす工夫、(4)は材質による音色の選択や音の高低の設計が可能である。 公立中学校(静岡市立清水第5中学校)、公立小学校(静岡市立清水三保第二小学校)で機械式振子時計教材、オカリナ、受動歩行模型教材製作の授業実践を行った。どの教材も先進的な取り組みで生徒児童の興味関心が高いことがわかった。また、小学校で実践した受動歩行模型教材については学校全体、家庭を巻き込んだ教材となった。さらに、8つのイベント(計12日間)において、高齢者ボランティアと親子が一緒にものづくりに参加する工作教室を開き、子どもたちの喜ぶ姿と子どもとともに一生懸命に取り組む親やボランティアの姿から、ものづくりを核とした地域における世代間交流の可能性を明らかにした。
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