本研究では、安全に楽しい理科実験の授業ができる有為な教員を養成するために、以下の内容を行うことを目的とする。 1)演示するための学習や予備実験の過程で学生が化学の知識や実験技術を習得することができ、かつ、教育現場などで理科の授業に実際に使用される、汎用性のある有用な化学実験教材とその演示法を開発。教材は実際に使用されてこそ意味がある! 2)開発した教材による出前化学実験を、授業の一環であるサービス・ラーニングとして実践。 3)実践と改良を繰り返し、最終的な実験演示方法を、化学教材のマニュアルとして出版し、広く公表、教育現場に配付する。 以上の結果、教員養成のための教育としての出前実践を通じ、受講・体験者に理科実験を経験する機会を提供し、出前実践のために開発した化学教材実験・演示法を公表する。これにより、現場教員の教科指導力の向上、最終的には理科好きの児童・生徒・大人を育むことに貢献する。 2009年度は12回(日)の出前等による化学実験の実践を行った。受講・体験者の総数は753名以上、参加学生は延べ69名に上る。以上の実践により、これまでに開発、実践してきた化学実験教材(化学マジック、お菓子作り化学実験、生物発光実験)の改良には、ほぼ目処が付いた。ちなみに、お菓子作り化学実験として、筆者が開発・監修したラムネ菓子、グミキャンディーの実験法が、中日新聞「おもしろ実験室」で紹介された(8月30日、1月31日)。今後、確立した実験法の点検、および新たな教材実験の追加開発のために出前実践を行い、実験法の詳細マニュアル、演示・指導用のプレゼンテーション資料、および実践例のシナリオと映像を作成し、化学実験教材実験集としての完成を目指す。特に、完成度の高い実験法(密閉爆発-ロケット&爆発する炎&アルコール鉄砲)は論文として公表する予定である。
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