研究概要 |
学校教育の現場では,「教える」と「学ばせる」ことに視点が置かれているが,本研究では,学習者と共に,指導者も同時に学ぶ(共育)という学習効果に注目し,指導者と学習者の学習効果(自省を含め動機の変容など)について,事後アンケートを基に統計的な分析を行った。 筆者らが企画・実施した地域密着型の科学教室(4回シリーズ×2)に参加した小学生の事後アンケートには,内容が小学生のレベルを越えたものであったにもかかわらず,ほぼ全員が「おもしろかった」,「またやりたい」と回答しており,保護者からも毎年開催の要望が寄せられた。向時に,教室で講師役とTAを担当した学生のアンケートには内容再理解の必要性やコミューケーション能力の重要性などの自省や自己変容についての記述に加え,地域密着型の科学リテラシー普及をめざす科学教室への参画の意向が強く示されていた。 これらのことから,教育手法を誤らなければ,高いレベルの内容であっても小学生にも教育は可能であり,指導を担当した学生も同時に自己変容と自省という「共に学ぶ(共育)」の形態も顕現化されていた。 今年度の科学教室の1件(あすたむらんど子ども科学館)では「風力発電」をテーマに,発電の原理から風力発電機の製作と性能試験などを行ったが,時機にかなったテーマであったため保護者を含め子どもたちにも好評であった。 この教育システム(広域科学技術リテラシー啓蒙)の実現には,地域の各機関との連携ネットワークが不可欠であるが,今年度は吉野川市鴨島公民館と「あすたむらんど子ども科学館」との2件の連携による活動に留まった。なお,県下の大学・高専間の連携については引き続き構築に向けた活動を展開する。 本研究の成果の中間報告を2011年9月に日本工学教育協会工学教育研究講演会(札幌)で発表した。また,本研究の成果をまとめた報告書は現在印刷中である。
|