研究概要 |
発展途上国にとって地域の実態に即した環境教育は,地球環境を保全しながら,より豊かな生活を行う経済の持続可能な発展にとって重要である。質の高い環境教育を実践するには,地域の素材を生かした教材開発と,活動を生かした生徒中心型の授業を行うことが必要で,この実践のためには授業研究の手法が有効である。本研究では経済発展が著しい途上国である南アフリカ共和国の貧困州をターゲットとし,質の高い環境教育の実践に関するアクションスタディを行うことで,途上国の実態にあった環境教育プログラムの開発と,その現場レベルでの授業改善に関する示唆を得ることを目的とする。平成23年度は,平成22年度の調査で明らかになった環境教育に関する授業の問題点を現地教育省担当官・指導主事と共有するとともに,環境教育をテーマとした理科授業の研究会に参加した。実践された授業は現地の教員が計画した生徒中心型のモデル授業にあたるものであり,地域に根差した教材が取り入れられていた。しかしながら活動と授業目的の連関が薄い,実験結果を記録しない,生徒の実施した実験結果をまとめに用いないなど授業中の活動の位置づけにまだ課題があることがわかった。昨年度より導入を試みているワークショップ形式の授業検討会の手法について,教員の参加度合や発言内容を分析した。この結果,教員の参加度が向上し,より幅広い観点の議論を促進する手法であることがわかった。これらの結果の取りまとめを行った。
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