研究概要 |
新学習指導要領の実施にともない,中学校技術分野において新たな学習指導方法について検討した。昨年度に引き続き,「情報に関する技術」の「プログラムによる計測・制御」学習にe-Learning教材を導入し,生徒の,人間力の育成(課題解決力,探究心,集中力,共同的解決力,自己評価力)の向上の要因について検討した。つぎに,「生物育成に関する技術」の「生物の育成環境と育成技術」学習で「スプラウトの育成」を題材としたe-Learning教材を作成し,導入した。ここでも人間力の育成の可能性について比較・検討した。結果として,物事に取り組む集中力の向上についてはプログラムによる計測・制御の学習が,また,自己評価力や共同的解決力の向上については生物の育成環境と育成技術の学習でより効果的であることがわかった。それらの要因として,プログラムによる計測・制御の学習では,使用教材(ロボット)と授業方法(デュアルモニターの使用)が考えられる。また,生物の育成環境と育成技術の学習では,授業方法(栽培記録の作成)や授業形態(班に1台の情報端末機器の使用)が考えられた。 e-Learning教材の使用に関して,8割の生徒が肯定的に回答している。また,作成したe-Learning資料の内容についてどちらの学習においても,十分満足していることがわかった。資料の「信頼の度合い」,「詳細の度合い」,「有用性の度合い」については,資料の「情報量の多さ」と「情報へたどり着くまでの速さ」を判断基準にしており,「理解の度合い」,「興味への度合」については「文字の強調」や「動画・静止画の導入」を判断基準にしていることもわかった。さらに,男子はプログラムによる計測・制御の学習が女子はスプラウトの育成の学習に指向性があることがわかった。
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