研究概要 |
新学習指導要領の実施にともない,中学校技術分野において情報端末機器を使用した新たな学習指導方法について検討した。これまで,第3学年を対象に「情報に関する技術」の「プログラムによる計測・制御」学習および「生物育成に関する技術」の「生物の育成環境と育成技術」学習において人間力(課題解決力,探究心,集中力,共同的解決力,自己評価力)の育成の可能性およびその要因について検討した。結果として,「プログラムによる計測・制御」学習は物事に取り組む集中力の向上,また,「隼物の育成環境と育成技術」学習では自己評価力や共同的解決力の向上について効果的であることがわかった。それらの要因として使用した情報端末機器の学習教材の画像(静止画・動画)が有効であることがわかった。これらを踏まえ,23年度は第1学年で「材料と加工に関する技術」および第2学年で「エネルギー変換に関する技術」について同様の研究内容で検討を行った。両学年とも情報端末機器を使用した学習に関して,興味・関心は高く、継続性が高いことがわかった。また,知識・理解の定着に関しては,今回の研究では考察することはできなかった。ところで,情報端末機器を使用した学習形態に関して学年が低下するにしたがい否定的な傾向がみられた。要因として,(1)実習をともなう学習に関して,知識・理解の学習に関しては情報端末機器を使用する頻度が高いが,実習が始まると情報端末機器の使用頻度が低下する傾向がみられたこと,(2)技術分野が中学校で初めて学習内容であり,かつ,ものづくりを主体とする実践的・体験的な教科であることから教員指導型に慣れている生徒が情報端末機器を使用した個別学習に不安を生じたことなどが推測された。
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