本研究では、前年度までに行われた研究の総括を行うことで、授業実践で用いた教材の教育的有効性を明らかにする。その結果、(1)ランプシェードの製作活動では、24.4%の生徒に省エネ機器の選択について改善が見られたが、省エネ活動等の実践への波及効果は少なかった。実験等の体験活動と比較してふりかえり活動の省エネ電球選択率の方が2.4倍高いことから、温暖化防止活動を向上させるためには、照明比較実験や製作活動のみならず、ふりかえり活動の充実が必要であることが分かった。(2)エネルギー環現教育に関するアンケート調査(25校)では、福島県いわき市を中心としたエネルギー教育実践校(14校)を含む18校から回答を得た。その結果、同教育を実施していた学校では、児童・生徒が報道に惑わされず、自分自身のエネルギーに関する学習知から判断した行動が取れているため、それらの学校は比較的落ち着いているが、放射線に関しては教育現場で活用できる教材が求められていることが分かった。また、(3)長崎大学教育学部生を対象にしたアンケート調査から、福島第一原子力発電所事故に対する意識は「放射線に対する恐怖」や「原発事故は起こる」を挙げ、原子力に対する考え方は原子力ワークショップ(WS)非参加者が「東京電力等に対する不信感」・「必要性(原子力や教育機会)」を、WS参加者が学「習成果」・「必要性(原子力)」・「日本の技術水準の高さ」を挙げた。そして、96.2%の学生は、教育学部での原子力に関連した講義等の必要性を示し、その理由として70似上が教養や教員の知識とした。これらの結果から、現代社会においてエネルギー環境教育は子どもの主体的な学び・地球温暖化防止実践力向上のテーマとして有効であるが、教師の知識と教材が必要であり、また教科学習内に組み込むためにはモーションキャプチャ技術のような授業支援技術の活用とふりかえり学習が必要であることが分かった。
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