研究課題/領域番号 |
21500882
|
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
川添 充 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 准教授 (10295735)
|
研究分担者 |
岡本 真彦 大阪府立大学, 人間社会学部, 准教授 (40254445)
高橋 哲也 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 教授 (20212011)
|
キーワード | 数学教育 / eラーニング / 教育心理学 / 教育工学 / 線形代数 / 高等教育 |
研究概要 |
21年度と22年度におこなった主要単元に関する理解度を測定するためのテストの分析結果と、その結果から得られる教育上の示唆をふまえ、個々の問題ごとの誤り内容のより詳細な分析を行い、つまずき原因とそれを改善するための教授方法に関する仮説の構築と実験による検証をおこなった。つまずき原因の究明のため、22年度までのテスト結果のデータに加え、大学全体で1年次の数学科目に導入しているWeb数学学習システムの線形代数分野の問題のログデータを用いて誤り内容の分析を行った。その結果、1年次の線形代数全体の理解度の関わるポイントとして、係数が0になっていて見かけ上消えている変数を含む1次方程式の場合も含めて、方程式とその解の集合との対応の正確な理解が重要であり、そのためには、3次元空間において、一部の係数が。になっていて見かけ上2変数以下となっている1次方程式と方程式が表す空間内の図形との対応の理解を支援することが重要である、という仮説を立てるに至った。この仮説を検証するため、実験を行った。行列の形で表された3変数の連立1次方程式で、ある変数の係数がすべて0になっているものの解のパラメータ表示を正しく理解できているか、を問う問題をプレテストとして、プレテスト後の20分で、一部の係数が0になっていて見かけ上2変数以下の1次方程式となっている方程式と方程式が表す空間内の図形との対応に関する実験授業を行い、再び、プレテストと同様の問題でポストテストを行った。この実験の結果、係数が0になっている変数の扱いを正しくできないという誤りがプレテストでもポストテストでも同様にみられ、実験授業による介入でもその誤りを減らすことはできなかった。誤りを減らすことができなかった原因としては、実験授業では短時間の介入であったことが考えられる。これについては、長期の授業の中での検証が必要であると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理解度測定テストのデータの分析が十分に進み、1年次の線形代数全体の理解度に関わる指導のポイントについての仮説を立てることができ、24、25年度で1年間のコースでの長期的な評価を行う準備が整ったため。
|
今後の研究の推進方策 |
23年度に立てた仮説にそって、1年間の線形代数のコースの指導方法を開発し、24年度の1年間の授業で実践する。24年度の授業期間終了後、仮説の検証や指導方法の効果についての分析を行い、コースの改良を行い、25年度の授業で、再度長期的な検証を行う。
|