「自然に親しむ保育」の実践事例や園の自然環境について情報を収集した。樹木を多く植栽したり、ビオトープの導入をしたり、また、採光や通風などの構造物の工夫と園舎内への植物の取り入れなどの工夫をしている園などを訪問し見学した。具体的には東京都(幼稚園1、保育所2)、福岡県(保育園1)、兵庫県(幼稚園1)、鹿児島県(幼稚園1、保育所1)の各園で、デジタルカメラによる撮影や参考資料をもらったり、聞き取りをしたりした。調査時に、汎用「育つ力の評定基準」による発達診断への協力を依頼し、経年的に「自然に親しむ保育」による「育つ力」の実証研究を行うこととした。各園3・4・5歳児クラスの幼児を対象とし、1クラスで20~30人のサンプル数とした。結果は分析中である。 自然に親しむ保育の質的・量的「尺度」について検討した。2002年度に行った「園の自然環境調査」で用いた尺度を改良し原案を作成した。今後、有効性を検討し確定したうえで、自然保育の質と実施の程度を測定し、汎用「育つ力の評定基準」との相関性を検討する予定である。 さらに、上記の園庭見学とは別に、園の保育方針として環境教育に力を入れている福岡県内保育園の保護者に対して、保護者自身の自然・動植物への関心の程度や自然遊びに対する考えなどについてアンケート調査を実施した。幼児の環境意識の形成にとって保護者の生活態度や環境に対する価値観などが大きく影響を与えるので、保育者だけでなく幼稚園、保育所の保護者に向けて、自然や環境への関心を高めるような働きかけを行うことが必要であることがわかった。
|