研究課題
盲ろう者・聴覚障害者は音声ピッチを知覚することができないので、音声ピッチの制御に困難をきたしている。特に歌唱に際しては音声ピッチを音階に対応し安定して調節する必要があるので困難である。本研究課題では開発した盲ろう者・聴覚障害者の歌唱を支援するための触覚ディスプレイを用いた音声ピッチ制御システムを用いている。本システムの触覚ディスプレイにはピエゾ圧電素子による振動子64本が16行4列に配列されている。ユーザーは右手人差し指の第1関節を触覚ディスプレイ上に置いて触覚刺激を知覚し、触覚フィードバックにより音声ピッチを調節する。今年度は、本システムを用いた触覚フィードバックにより安定した音程やメロディに合わせた音程制御が可能となるような訓練方法を策定するために固有感覚フィードバックに着目した評価をおこなった。具体的には、聴覚フィードバックなしでも、形作られた音程と固有感覚フィードバックの対応によりある程度の正確性をもってピッチ調節が可能であるかどうかを評価実験により調べた。本実験の結果から、触覚フィードバックがない状態、言い換えると、固有感覚フィードバックのみの状態では、ピッチ差が触覚フィードバックがある場合に比べて有意に高いことが示された。この結果から、固有感覚フィードバックのみでは正確なピッチで歌うことができないことがわかった。しかし、本システムによる訓練を実施した後に、再度固有感覚フィードバックのみの状態で実験した結果では、有意にピッチ差が減少した。本研究の結果から本システムの有効性が示されたとともに、本システムにより固有感覚フィードバックにおけるピッチ制御の正確性も向上することが確認された。
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NTUT Education of Disabilities
巻: Vol.9 ページ: 9-12
2011 IEEE International Conference on Systems, Man, and Cybernetics
ページ: 1069-1073