本年度は、以下の2点を達成した。 1)学術的英文読解方略の整理 昨年度に開発した学術的英文読解方略のガイドラインと指導方法に関して、より具体的な指導を可能にするために、それらに基づき、10本の論文について読解事例を作成した。この読解事例とは、それぞれの論文について、skimmingやscanningに基づきながら、読むべき箇所をマーキングしたものである。昨年度に作成した教材用の正答例をもとに、論文1本につき英語力の高い学生を複数人割り当てて、それぞれ独立してマーキングさせた。その後、それらの一致度を考慮しながら、精緻化を行った。 2)英文読解支援システムの開発 学術的英文読解方略のガイドラインと単語選別方略に基づく、英文読解支援システムを開発した。本システムは、iPhone/iPod touch/iPad上で動作し、指定したHTML形式で記述された論文について、集中的に読むべき箇所を絞り込んで表示し、skimmingやscanningに基づく読解を支援する。また、学習者は、絞り込みの前後を比較することで、具体的にどのようにskimmingやscanningを行うべきであるのかを把握することができる。なお、単語選別方略とは、論文内の単語群について、一般的ではない単語を専門的単語の候補として抽出する方略である。JACET8000に基づいて、一般的単語のリストを作成した。このリストを組み込んで、専門的単語の候補をハイライトする機能を、英文読解支援システムに実装した。
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