研究概要 |
本研究は,情報表現の方法が人間の情報判断にどのような影響を及ぼし判断を左右するかについて学習者のメタ認知を促すことにより,小学生から中高生までの幅広い学習者の情報判断力および情報表現力を高めることを目的として,学習教材を開発しようとするものである。「メタ認知」は,端的に言えば「認知に対する認知」を意味する。情報判断について言えば,「なぜ人間は誤った判断をしてしまうのか」「判断の誤りにはどのような種類があるのか」「判断の誤りを防ぐには,どのような点に注意すればよいのか」といった知識に加えて,自分の情報判断に対するモニタリングやコントロール(制御)が,メタ認知に含まれる。こうしたメタ認知を育てることが,学習の転移を促進し,学んだ知識・スキルの活用を促すことが徐々に明らかになってきている。 本年度の研究は,昨年度に試作したワークブック(テキスト教材)「生活の中の情報を正しく判断しよう」をふまえて行った。この中には,30個の課題およびそれぞれについての解説が含まれている。本年度は,このワークブックを実際に19名の学習者(中学生)に解いてもらい,その後解説を読んでもらった。結果,彼らの理解しにくい点が明らかになった。また,小学校および中学校の教師を含む3名からの詳細なコメントを得た。これらの情報をもとに,それぞれの課題の記述表現を検討・改善し,また,個々の解説についての吟味・改善を行った。このサイクルを繰り返した後,ワークブックの改訂を行った。
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