本研究は,情報表現の方法が人間の情報判断にどのような影響を及ぼし判断を左右するかについて学習者のメタ認知を促すことにより,小学生から中高生までの幅広い学習者の情報判断力および情報表現力を高めることを目的として,学習教材を開発しようとするものであった。 情報表現や情報判断に関わるメタ認知には,「どのような表現が誤解や曲解を招くのか」「なぜ人間は誤った判断をしてしまうのか」「自分はどのような判断特性を備えているのか」「判断の誤りを防ぐには,どのような注意が必要か」といった知識成分に加え,自分の情報表現や情報判断に対するモニタリングやコントロールなどの活動成分が含まれる。こうしたメタ認知を育てることが,学習の転移を促進し,学んだ知識・スキルの活用を促すことにつながると考えられる。 2012年度は,特に本科研最終年度に当たるため,以下のような実績を上げた。 (1)これまでに開発し改善してきた,情報判断や情報表現についての学習者のメタ認知を促す内容を盛り込んだテキスト教材(問題集および解説)の仕上げを行った。そのために,小学校勤務歴が長く校長職についており,しかも情報判断に関連の深い統計の授業を大学で担当している専門家からの知識提供を受けた。 (2)開発し改善を重ねたテキスト教材「生活の中の情報を正しく判断しよう」をWeb教材化した。その際,試作版Web教材を数名の教師に見ていただき,問題点の指摘を求め改善の参考とした。
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