研究概要 |
研究課題の中心である"力覚による書字訓練システム" および "訓練結果の墨字評価システム"の完成を目指した.前年度の問題点であった,実際の筆記に必要な1cm四方の小さな字を書くための訓練(小さな字を書くためにタブレット上に等間隔で設定したいくつかの点を,ある点を基準とし各点をペンで正しくポイントすると,音で知らせペン先の移動距離感を訓練)するプログラムのプロトタイプを開発した.開発したプログラムを使い研究者が目隠しをして訓練を繰り返したところ,ある程度の距離感をつかむことが出来た.しかし,実際に字を書く場面では,特に漢字を構成する筆画の結合位置を正確にとらえることは非常に難しいことがわかった.その点を踏まえて移動距離感を訓練するプログラムおよび書字訓練システムを改良中である.また,視覚障がい者にとって一般的な漢字の書き順で漢字を書くことは難しい.特に筆画の結合点がうまくつながらないことが多いので,一筆書きのようにペン先を離さずに書けるような書き順を検討する必要もある.現在,開発したシステムを実際に視覚障がい者にテストしてもらい,調整および改良を行うため筑波技術大学と調整中である.テストでは訓練課過程におけるエラー(手本の文字位置と訓練者の運筆位置との距離の差など)を記録し訓練の進捗とエラーの関係に基づいた客観的な評価を行う.また,利用後の被験者へのアンケートによる主観的な評価も行う.研究成果をロシアの教育関係の学会で発表したところ好評を得た.本システムが外国語においても有効であると考えられる.
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