研究概要 |
多くの高等教育機関などにおいて,eラーニングが盛んに取り入れられ,発展してきた.例えば,AHS(Adaptive Hypermedia System)の一部を利用して学習者に適応した学習コースを推薦するシステムでは,従来に比べ学習効果が高い事が実験結果から確認されたが,オンライン小テストの結果を基にする為,学習者には負担がかかる.また,学習履歴を基に関連性の高い教材コンテンツを推薦する双方向推薦方式は,教材コンテンツの配置する順序に関係なく関連性の高い教材コンテンツが推薦される事や,アンケート調査によって学習時間が短縮出来る事が確認できた.これらの事から学習者に負担をかけず,尚かつ学習者に適応した情報推薦が必要である.そこで本研究では学習履歴情報の閲覧回数が多い教材コンテンツである程,学習者がつまずき易い内容であると仮定し,その教材コンテンツを学習傾向が類似している学習者に"苦手科目を克服する為に必要な教材"として推薦する協調学習推薦システムを開発した.そしてこのシステムを用いた実験の結果,各学習者に対する推薦教材の抽出を行い,学習者に適応した推薦と未知の教材が推薦される可能性を示した.しかし,本研究の最終目的でもある苦手科目の克服に貢献する教材コンテンツであるか否かについて,過去の学習者の履歴から導く技術の研究はまだ完了していない.今後,その検証の為には,実際に推薦機能を利用した後,アンケート調査や学習履歴を分析していく必要がある.一方,学習履歴情報を持たない新規学習者には,属性情報の体系化に基づく類似嗜好者抽出手法を提案したので,今後実装していく予定である.
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