研究概要 |
[研究の目的] 本研究の目的は、英語のリーディングにおける教授法で同じトピックの読み物を継続的に読んでいく方法(Narrow Reading ; Krashen, 1981)が効果的であることを脳科学的に検証し、今後さらに新しい教授法開発へと発展させることであった。そのため、23年度は、大石(2006)で分類した4つの脳活性型(無活性型、過剰活性型、選択的活性型、自動活性型)の学習者を対象に、一定期間トピックを限定してリーディング指導を行い、理解度チェックテスト、光トポグラフィを使用し、課題遂行時の脳血流増加量を測定し、アンケートとインタビューを実施した結果をまとめ成果を報告することであった。 [研究結果] 当初の計画通り平成23年度は、平成21~22年度の実験で得られた結果をまとめた。本研究から得られた結果としては、脳の活性型が無活性型および過剰活性型の学習者は、選択的活性型に変化し、選択的活性型は自動活性型に近づき最適な脳活性状態に変化した。自動活性型は有意差が認められるほど脳血流量の変化は見られなかったが、理解度については向上し、明らかに容易に言語を処理することができるようになると判断できた。また、読解過程中のストラテジーについては、上級学習者の方略として変化している可能性があることがインタビュー結果から判断できた。 本研究結果は、Narrow Readingの教授法が、いずれの学習者においても効果的であることが脳科学からの知見が得られた。この研究の成果は、AILAおよびSungkyunkwan Universityでの、Seminar in Second Language Acquisitionで報告をし、従来の認知学的知見からの第二言語習得論にもとづく教授法の一つである指導法の効果が、脳科学的に実証できた点で高い評価を得た。
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