研究概要 |
本研究の意義は、理学療法士・作業療法士における臨床能力評価の基準を確立することである。そして、本研究の目的は、OSCE成績と学内成績、臨地実習成績の関連性を明らかにすることである。対象は、平成19年4月に入学し平成23年3月に卒業した本学科の理学療法専攻46名、作業療法専攻43名であった。検討方法は、OSCE成績(レベル1、レベル2、レベル3)、学内成績(1年、2年、3年)、臨地実習成績(初期体験実習、臨床実習、応用臨地実習)を得点率として求め、Spearmanの順位相関にて各成績の関係を検討した。結果は、学内成績同士ならびに臨地実習成績同士の組合せでは有意な相関関係がみられ、OSCE成績同士の関係では高い組合せと低い組合せがみられた。学内成績とOSCE成績との関係では、3年次(OSCEレベル2)までは有意な関係がみられたが、臨床応用力が必要な4年次(OSCEレベル3)には有意な関係がみられなかった。OSCE成績と臨地実習成績との関係では、相関関係が低い組合せが多かった。以上のことから、臨床と教育の指導内容に統一性を考慮したOSCEの導入の見直しが必要であると示唆された。今後は,OSCE評価の信頼性,妥当性をさらに高める上で,評価者間の一致度の検証を引き続き行い、OSCE評価シートを改良し更新していく.また,学生教育,新人療法士の臨床教育だけではなく,中堅理学療法士・作業療法士が学生,新人療法士を臨床教育する上での臨床技術の標準化を進めていきたい。
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