研究概要 |
<研究目的> 我が国の大学における「卒業論文」や「卒業研究」は,学生が卒業後に社会人として要求される問題解決能力やコミュニケーション能力など多くの能力が養われる最適な学習機会と考える. 一方,学生の基礎学力や学習への動機付けの低下,それによる教員の指導の負担増などで,このような学習が円滑かつ効果的に運用されているとは言い難い面も出てきている. 本研究は,このような問題を解決する支援システムを開発し,このような学習機会の効果的で効率的な運用を実現し,さらに普及・発展させることを目的とする. <研究実施計画> 卒業研究を上流工程(研究テーマの決定,研究計画書の策定),中流工程(研究活動のうち調査や実験および分析),そして下流工程(全体のまとめと発表)に分けた場合,平成21年度は,現在まで開発してきた上流工程を対象としたシステムの評価と改善を行い,その後に中流工程・下流工程を支援する部分をシステムに追加する計画であった.しかし,当初に行った上流工程の評価から,この工程における学習者に提供する情報の不足から必ずしも有効に運用されているとは言い難い結果が得られた. そこで,中流工程および下流工程の支援の部分を先送りし,本年度は,上流工程における学習者に対する情報を,従来のシステム内に組み込まれた限られた情報提供のしくみから外部データベースを活用する方法にシステムを一部変更し,試行的に運用を行ってみた. このことについては,連携研究者の山下(数学),上山(経営学),研究協力者の西本(心理学)からの協力を得て,幅広い視点からの意見を聴取するとともに,教育システム情報学会での研究発表や国際会議への投稿・査読を通して検証した.同時に,システムの開発用言語であるPHPの習得に努め,中流工程および下流工程の開発のための準備も行った.
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