映像制作ワークショップ普及のためには、実施手順のモデル化やワークショップに使用する教材やツールの制作、そしてワークショップの進行役であるファシリテータの育成等が必要である。H21年度、H22年度の研究の結果、本研究で提案・開発した映像教材は言葉や文字では伝えにくい、映像文法の提示に一定の効果があることを確認した。また映像制作ワークショップにおいては本番の撮影に先立ち、撮影の手順を事前に体験する模擬撮影が撮影本番における参加性の向上に寄与する事がわかった。また参加者自身が編集を体験する事で、映像文法への理解が深まることが明らかになった。一方、映像制作ワークショップを実施している社会教育施設ならびに教育機関へのインタビューの結果、ワークショップの開催期間は最長でも10日から1週間程度が求められている事がわかった。 これらの成果を基に、H23年度は脚本制作部分を分離し撮影・編集を中心とした9日間のワークショップ・プログラムの開発を行い、映像制作ワークショップを実施し本パッケージの有効性の検証を行った。その結果本映像教材を用いた撮影に対する事前理解はワークショップに対する参加性向上に有効である事が確認できた。また映像制作ワークショップにおいては脚本の「制作」ではなく事前に用意された脚本を「解釈・分析」することでも、映像制作を体験的に理解することが可能である事がわかった。 映像制作を学ぶメディア教材や模擬撮影、そして編集体験の施策により、映像表現を学ぶ映像制作ワークショップのパッケージ化を行う事ができた。さらに従来の脚本制作、撮影、編集といったワークショップ・プログラムから脚本制作部分を分離した短縮版パッケージの開発により、社会教育施設での開催機会を拡大した。さらに、これまで時間確保の困難さから中期型映像制作ワークショップが困難であった学校での開催にも道を開く事ができた。
|