研究概要 |
研究2年目である平成22年度は,研究aのコース構成の分析を中心に進めた。また,コースのコンテンツとなる実践研究やコース設計に有用な研修プログラムの研究も合わせて進めた。 研究a. 現職教師の「働く場」での教育改善を可能にするコンテンツの構成 「スキーマ理論に基づく教材開発」および「授業におけるICT活用」の2コースについて,次の4つのサブコンテンツに分類し,それらの関係性を分析し,実践から仮説を導出した。研修全体を貫く枠組みを抽象的・一般的な枠組みとして提供する「理論の提供」,提供した理論を特殊化した研究事例の課題を,学習者・調査対象者として体験する「研究事例による参加体験型の経験」,提供するが具体化・特殊化されたサンプルとしての実践例を複数提供する「実践事例群の提供」,提供した事例群から研修課題を帰納的に導出しする「一般化した課題の提供と定式化」である。実践を通して検証したところ,「理論の提供」「参加体験型の経験」「実践事例群の提供」「一般化した課題の提供と定式化」というシーケンスでコースを構成することが有効であると考えられ,とりわけ「参加体験型の経験」を適切に組み込むことによって,効果的な遠隔学習コースを設計できると考えられる。 研究b. インタラクションに伴う存在感の形成・変動過程の分析と記述 遠隔学習コースの実践においては,参加した現職教員受講生全員が高い意欲を示しており,ATI的な分析が困難であった。実践している遠隔研修が,希望研修であるためだと思われる。ただし,運勢ライン法による調査から,共同体意識が向上することにより,研修への参加意欲も向上することが示されている。受講生個々の意欲に加え,共同体意識の関与について,さらに検討を加える。
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