本研究では、授業分析において、分析者が授業逐語記録を読む際に、何をどのように意味付けているかを確定するために、授業分析に特化した"制限された言語"として、中間記述言語を開発する。こうした言語を開発するためにまず、予備的研究での試作をもとに、中間記述言語開発する。そして、複数の事例の分析へ適用し、同一授業についての複数の研究者記述結果を比較し、表記法の改良を図る。また、事例データベースを構築し、異なる授業間の知見を相互に参照した考察を可能にする。さらに、オントロジー研究や、自然言語処理の成果を参照し、計算機による演算のためのソフトウェアを開発する。 初年度に当たる平成21年度は、中間記述言語を開発した。語と語の関連を表す記号、語句のまとまりを明示する記号、文と文(語)の関連を表す記号など定義した。記号の定義は、自然言語の一般性だけではなく、授業分析に特化した言語の特徴を重視した。 また、中間記述言語の演算可能性について検討を進め、記号をもとに論理構造をソフトウェアが判別できるように、アルゴリズムを考案した。これによって、教材、学習内容に関わる専門的知識も組み合わせることによって、再利用可能な知識ベースとして、授業記録を活用することへ発展する可能性が明らかになった。
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