研究概要 |
多人数を対象とした組み込み装置開発教育を、積み上げ・個別一斉方式で行う際に必要となる教育支援システムの開発と評価を行った。2009年度は基礎的組み込み学習教材の開発、学習教材配信サーバの構築、学習者用クライアントコンピュータ(Debian Linux,約130台)の開発・実装を行った。サーバはクライアントに対しweb型実験手順書を配信すると同時にその閲覧状況をログに記録する。また、各クライアントにおいて開発されるプログラムのコンパイルやエラーログは、独自に開発したWrapperプログラムによってコンパイルが行われると同時にssh経由でサーバに保存される。実際の授業において、このシステムの試験運用を行った。2010年度は、独自に開発したマイコンボードを用いた実習のログ解析を行うと同時に、より複雑な組み込み教材を共有するための学習支援システム開発を行った。100名を越える多人数を対象として、より複雑な組み込み教材を導入するためには、ネットワークを用いた組み込み教材の共有システムが必要である。ここでは、「鹿威し制御システム」「ソレノイド・エンジン制御システム」「水車ルーレット制御システム」「水天秤制御システム」などの教材を開発した。各クライアントで開発されたプログラムはこれらの教材に転送され、動作監視サーバによって動作中の動画がクライアントに配信されると同時に自動的に評価・採点が行われる。プログラムの評価がクライアントからの送信順に行われるため、システム全体のスループットに課題が残された。2011年度は震災によるシステム復旧と授業実施内容の一部変更を伴い、コンパイルエラーログの時系列解析を行った。ログの視覚化においては実習開始から終了までのコンパイル頻度と、各エラー発生頻度の関係をグラフ化し、評価を行った。このログ分析手法は、コンパイル回数に対してエラー発生頻度を低減させるために、教材を改善する手法として非常に有用であると考えられる。
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