研究概要 |
教育におけるICT活用が進んでいることを背景に,本研究では,教育効果を高めるために,ICTを活用した個別学習と協調学習とを組み合わせた授業の枠組みを提案することを目的としている.全体としては,前半に個別学習を後半に協調学習を配置し,本年度は,次に述べるような比較的細かい粒度で個別学習と協調学習とを組み合わせた授業を設計した.すなわち,前半の個別学習に「協調学習の練習」と位置づける学習活動を導入し,後半の協調学習には「個別に行った問題解決結果を基にチームとしての問題解決結果を導く」形態で行って,チームで課題に取り組む前の段階に,各人がそれぞれ課題について考える過程としての個別学習を明確に位置づけた. この設計に基づき,「前提となる知識を基に協調して結果をまとめる」授業において実践を行った.学習全体を通しての学習支援基盤はコース管理システム(CMS)を使用し,個別学習についてはCMSを活用した自己学習型の授業を行った.協調学習については,ICTを活用したツールを用いて授業時間外の学習環境の充実をはかり,本年度はCMSの機能の一部であるメールや電子掲示板などのコミュニケーションツールを用いた. また,個別学習と協調学習を組み合わせて実施した場合の相乗効果といった視点から,学習の効果について調査した.学習効果の評価方法としては学習内容の習得状況の他,授業設計の効果について学生へのヒアリングおよびアンケート調査を実施した.ヒアリングから得られた発言を基に,授業の機能について分析を試みた.その結果から,「協調学習の練習」と位置づけた学習活動が,その前後に行う個別学習,協調学習の両方に良い影響を与えていることが示唆された.次年度は,協調学習を支援するために,グループウェアなどCMS以外のシステムの導入を検討しており,そのためのサーバ環境を整えた.
|