現状において、コンピュータ実習設備は多くの教育機関に設置されており、特に高等教育機関においては専門分野に関わらず、ほとんどの教育機関が充実した整備を保有している。その主な用途は、1)全学的なコンピュータリテラシー教育、2)理工系を中心とした専門的ソフトウェアの利用、3)理工系を中心としたソフトウェア教育、となっている。ところが、ロボット・メカトロニクス分野における教育(以下、ロボメカ教育)についても、コンピュータの利用が不可欠であるにも関わらず、コンピュータリテラシー用設備を用いた教育の実施例は少ない。その大きな理由として、ロボメカ教育の場合には、様々なハードウェアを伴った教材が必要であり、全学的に使用する設備に対して、そのような機材を導入する事が困難である点が挙げられる。 以上の問題に鑑みて、平成22年度までに個人単位で演習可能なマイコン実習装置を開発し、実際の講義に導入し、一定の成果を得た。これに引き続き、平成23年度には別にロボメカ分野において大事な空間事象に関する教育を行う教材として、教育用途に特化した簡易型3次元電子黒板の開発を進めた。これは可動式のLEDディスプレイを往復運動させる装置とハプティックデバイスを組分せる事で、実空間に線画等を描画可能とするものでる。研究では、その試験機の開発と試用を行い、教材の有効性を確認した。また、小型ヒューマノイドロボットを教材として導入し、これを用いてロボットの各種要素技術および総合的な教育を実施した。
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