研究概要 |
本研究は,プログラミング入門教育を対象に,先行研究で開発したSIEMアセスメント尺度を活用しながら受講者のモチベーションを追跡することによって,教室内における着席位置との関係を示し,教室内のモチベーション分布の時間的な変化を探るものである.測定対象となるプログラミング入門の授業は,1セメスターを前期,中期,後期の3期に分割し,SIEMアセスメント尺度を活用しながら,受講者のモチベーションをアンケート調査する.アンケートの回答は煩雑な処理になるため,ブラウザを通じて回収するアンケートシステムを開発した.これらの情報と受講者が着席している位置の情報を組み合わせることによって,教室内におけるモチベーション分布を可視化できるようになった.クラス分割にて同時開講している複数の授業に対して,机等の配置が異なる教室形状とモチベーションの関係を可視化した結果,SIEMで取り入れている机間指導により,モチベーションは教室内に広く分散していることが明らかになった. 別な視点から履修データに着目し,プログラミング入門教育に続く2科目との関係を探り,計3科目の履修パターンの分析を行った.全ての科目が選択科目であるものの,SIEMを導入した時期以降,3科目の履修割合が高い状態に推移されていることが結果として示され,SIEMの導入効果であると考えられる. 受講者の個性を調査する目的で,エゴグラムを導入し情報収集を行った.エゴグラムの回答は煩雑な処理になるため,前述したアンケートシステムを活用した.今年度は時間的な制約から十分に分析を進めることができず,モチベーションとの関係の解明には至らなかった.また,エゴグラムは受講者の回答が低下する傾向があり,受講者の協力を得るための工夫が必要であることも分かった.
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