研究概要 |
初等段階でのメディア教育では,メディアの記号次元(主に映像)とリテラシーの教養次元に特化する能力をメディアリテラシー育成の基本(メディア教育)と位置づけ,初等教育用カリキュラム・パッケージを開発・実践・普及させることを目的に初年度は以下の課題に取り組んだ。 メディア教育が目指すメディアリテラシーを,3領域(A=受け手,B=使い手,C=作り手)・6能力(理解力,洞察力,探索力,発信力,構成力,創作力)・12視点(論理・直観,推論・視点,収集・選択,モード・複合,技法・立案,分析・創造)で再構成した。各視点の行動目標の決定にあたっては,新学習指導要領の国語科との整合性に留意して,低・中・高学年別に36の下位目標行動を抽出した。 一つの下位目標行動を達成するためのパッケージは,番組分析一覧,メディアリテラシー能力育成一覧,学習ノート,作品事例,評価・指導事例,授業実践事例で構成することとし,以下の3つのパッケージを開発し試行した。(1)中・高学年(5クラス160名):「受け手」『論理』(2)中学年(3クラス107名):「使い手」『複合』(3)低学年(7クラス222名):「作り手」『立案』。その結果,概ね下位目標行動の達成が可能であることが明らかになった。 さらに,静止画によるメディアリテラシーを育成する発展的パッケージ(学習ノート,評価・指導書)も開発し,静止画による「記録」「造形」「伝達」に関する知的スキルを身につける方術を明らかにした。
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