初等教育段階でメディアリテラシーを育成するにあたり,NHKデジタル教材の活用を基本に据えた体系的なパッケージ(3領域(「作り手」「使い手」「作り手」・12視点からなる36パッケージ)を開発・実践・評価を通して有用性を検証した。その結果,国語科の学習指導要領に即してパッケージを開発したにも関わらず,学習成果を記載したワークシートに対する評価と学習指導要録(前年度の国語科の評定)との相関が高くない領域・能力目標が見られた。そこで,「作り手」領域の能力項目を再考し,「伝達」「造形」「記録」の3領域からなる新たな17パッケージを開発した。 テキストブック(作品)の評定結果と前年度の国語科,図工科の学習指導要録の評定との関係を比較した結果,「造形」領域においてのみ,図工科の学力と極めて高い相関が見られた。しかし,作品評価においては,評価者により評定が大きく異なった。また,言語情報に依存する度合いにも相違が見られた。このことは、「造形」領域の作品評価にあたっては,指導者にも一定のコンピテンシーが要求されるともいえる。そこで,以下のような具体目標を4象限に分けて抽出した。 第I象限の具体目標(・魅力的な情景や場面を同定できる。・優れた瞬間を切り取ることができる。・珍しい被写体を同定できる。)第II象限の具体目標(・主題の強調と省略ができる。・コンピュータ処理ができる。・仕上げ効果を生かすことができる。)第III象限の具体目標(・造形的な場面を選択することができる。・主題の強調と減産効果を生かすことができる。・独自の美的表現法を主張できる。)第IV象限の具体目標(・独自の視点で被写体をとらえることができる。・新しい加工表現技術を活用することができる。)
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