本研究の目的は、ICTを活用して授業を行っている教師の割合が低い要因を多角的に分析することである。 今年度は、20年前と10年前の「ICTと教育」に関する国際比較調査の結果に基づいて分析を試みた。20年前の調査結果によると、コンピュータ使用状況については、日本は小学校、中学校共に調査参加国の中では低い割合(小学校25%、中学校36%)であった。この理由は、当時のコンピュータの性能及び価格に起因すると考えられる。10年前の調査結果では、日本を含む多くの国において、教授・学習過程で使用することができるコンピュータが学校にあることが分かった。インターネット接続可能なコンピュータに関しては、日本は、小学校68%、中学校58%、高校50%で、調査参加国の中では低い方であった。日本が低い原因は、学校に限らず社会全体のインターネット整備状況が悪かったこと、学校では電話回線によるインターネット利用が不便であったことがあげられる。 最近の国際比較では、日本は、授業の中でICTを利用している教師が少ない。日本の特徴として、教師は伝統的な教育実践に対する志向性が高いことが挙げられる。伝統的な教育実践は現在でも重要であるが、学校は児童・生徒に対して21世紀に不可欠な技能を保障しなければいけないと、SITESプロジェクトは提言している。
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