研究概要 |
平成21年度には、(1)先行研究と背景的な情報の収集と取りまとめ、(2)テキスト資料の収集、を主な活動とした。以下、その具体的な内容を示す。先行研究の探索においては「機能性食品」「食品安全性」などキーワードとし、機能性食品、健康食品に関わる、科学技術的、制度的側面を明らかにするための資料を集めるとともに、STS研究の主要な学会誌(Science,Technology,and Human Values,Science Communication,Public Understanding of Science、など)を検索し、科学技術を社会構築的な立場から捉える研究の取りまとめをおこなった。それらの研究を通して、食品技術と社会の関係性を取り上げる研究の蓄積がSTS研究において少ないという点、他領域、例えば「食品の社会学」の領域における理論、概念の融合が重要であることが判明した。 基礎データの収集において、当初は新聞記事を主だったデータとして活用する予定であったが、機能性食品、健康食品の論点を規定する社会的な影響力(マスメディアのアジェンダセッティング、フレーミング)という観点から、一般雑誌の社会における影響力を無視する事ができないという事が明らかになり、新聞記事に加え、一般雑誌の記事の収集と整理にあたった。以上、22年度以降の実証研究が依拠する研究領域と概念が明らかになったという点、2種類のテキスト資料の収集を通しデータベース(コーパス)の構築を完了したという点で、本課題にとって21年の研究は重要な位置づけを占める。 初年度の研究成果は、国際シンポジウムでの発表(国際農林水産業研究センター主催)および『フードナノテクノロジー』への投稿と出版を通し、普及を図った。これまでに作り上げた暫定的な概念モデルと食品技術を取り巻く社会背景に関し、予備的な研究成果として公表を行った。
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