機能性食品/健康食品の不適切な利用により健康被害などの実害が生じているものの、この問題は社会であまり注目されていない。社会科学の領域においても研究の蓄積が少ない。このような背景を踏まえ、本課題は、機能性食品/健康食品の社会的諸側面(利用環境などの)を幅広く検討し、科学的エビデンスを根拠とする区分の社会的再構成のプロセスを示すことをその目的とした。主な論点として、(1)科学的エビデンスの質と量の違いを基軸とした食薬区分の考え方にはグレーゾーンが存在すること、(2)食薬区分は、社会のさまざまな場面において多義的にとらえられ、任意に運用されているということがあげられる。
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