研究概要 |
本研究の目的は、明治初頭日本における近代医学の受容に伴う「人体」像の変化のプロセスを、医療啓蒙家・民衆・形成過程にある医療専門家集団を軸に構成し直すことにある。今年度は、明治8年-11年刊行の「人体問答」を表題につけた一群の初等教科書を収集し、内容を整理してエクセル表に登録する作業を進めた。また、本研究の背景を成す明治初頭日本における近代医学の受容過程に関する報告を、第110回日本医史学会学術集会(6/6~7,佐賀)で「明治初頭日本における医療情報の伝達・普及・定着」として、また、XXIII International Congress of History of Science and Tpchnology(7/28~8/2, Budapest, Hungary)において、"Language, Information, Instruments, and Medical Treatment-The medical assessment by Japanese doctors at the beginning of the Meiji era in Japan-"と題して発表し、さらに、看護歴史学会・交流セッションにおける基調講義「これだけは備えておきたい~歴史研究方法のキーポイント」(2009年8月21日:聖路加看護大学)で、その一部を紹介した。また、明治初頭の日本に舶載され、形成過程にある医療専門家集団と民衆の人体像に大きな影響を与えたフランス製人体模型の修理過程に立ち会い、解組、再組み立てを通じて内容の理解を深めた。
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