本年度は計画初年度に当たるため主に基礎データの収集に努めた。概略は以下の通り。 ・明治初期の電気産業の実態を把握するため、日本電気事業発達史などの電気産業に関する基本文献や主要な博覧会の出品記録などを調査し、明治初期の電信、電燈、その他の電気器械および器具を調査し、その製造者、必要される技術及び主要な材料を把握した。黎明期における電気技術は明治20年頃から大きく変化するので、特にその次期に留意し調査を行った。さらに比較対象として、各地の「独り案内」など江戸時代の職人に関する文献や国内外の企業カタログ等を収集し、幕末の産業や職人の状況、明治初期の国外における該当分野の技術などについて、把握を試みた。 ・初期電気技術者の業績を調査するため、藤岡市助顕彰会理事の佐山和郎氏の協力を仰ぎ、岩国学校教育資料館所蔵の藤岡市助・三吉正一関係資料の調査を、多久市郷土資料館の志佐喜栄氏の協力を仰ぎ、同史料館および御子孫宅において志田林三郎関係資料の調査を、東芝科学館において田中久重・三吉正一関係資料の調査を、東京電力(株)電気の史料館において、黎明期電気産業に関する文献・引き札及び機器資料の調査を行い、リストを作成した。 ・成果の一部は、平成21年9月15日~11月29日まで開催した国立科学博物館企画展「日本を明るくした男達」でも活用し、調査した資料の一部を展示して一般の方へも広く紹介した。
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